勇者ミーコの冒険 #21(2017/04/17)

ミーコとルンタは命からがらモンスターから逃げてきた。

ミーコ「ハア、ハア」

ルンタ「ハア、ハア」

管理人チャッピー「もう。だから立て札たてといたのにー」



ミーコ「えっアンタ誰?!」



管チャ「ここの管理人ですよ。あの橋にまものがでるってくじょうが多いんで、あれをたてたんです」

ミーコ「えーっ、あれじゃわかんないわ! ビックリしたじゃない!」

管チャ「おや、あなたのそのヘアバンド…」

ミーコ「えっ。こっこれはただのおしゃれなヘアバンドよ!」

管チャ「ですよねー。まものがでるって言っても、あの橋のまものはそんなにキケンじゃないんです。ただの旅人レベルでももんだいありませんよ。ましてや勇者なら…」

ミーコ「……」

管チャ「でもくじょうが多いんでね。管理人はなにやってるんだ、って言われちゃうんです。めんどうだから通行止めにしました」

ルンタ「管理人さんがあのまものをくじょできないの?」



管チャ「追っ払ってもすぐもどってくるんです。キリがないですよ」

ミーコ「(ルンちゃんどうしよう)」

ルンタ「(とりあえずここはわたしにまかせて)」

ルンタ「わたしたち女の子の二人旅でこころぼそいの。管理人さんがいっしょに橋をわたってくれないかしら?」

管チャ「そんなのおやすいごようですよ」

ミーコ「(よかったー)」

ルンタ「(これで川のむこうに行けるわね)」

管チャ「では行きましょうか」

再び橋にむかうネコたち。つづく。
勇者ミーコの冒険 #22(2017/04/18)

ミーコ、ルンタ、管理人チャッピーは、橋をわたりはじめた。すると!

チャララララララララ〜♪

モンスターがあらわれた!



ミーコ「(でたっ!)」



ルンタ「(でたっ!)」



ミーコ「どうするの!? 管理人さん!」

管理人チャッピー「だいじょうぶです。このまもののエサで…」



管チャ「それー。ほーい、ほーい」



ミーコ「うわあ。喜んでる…」

ルンタ「すごーい」

管チャ「ほーい、ほーい」

さらにモンスターがあらわれた!



管チャ「よしよし。どうどう」

管チャ「それー。ほーい、ほーい」



ミーコ「…」

ルンタ「…」

管チャ「ほーい…。よし、これでまものたちはまんぞくして去っていきました。もうあんぜんにわたれますよ」

ルンタ「ありがとう」

ミーコ「ありがとう」

管チャ「ではどうちゅうお気をつけて」

ルンタ「はーい。管理人さんもお元気でー!」

ミーコ「バイバーイ!」


   ***


ミーコ「あれ、どうみても、管理人さんが餌付けしてたよね…」

ルンタ「ミーコちゃんにもそうみえた? そうよねえ」

ミーコ「まいっか。橋もわたれたし!」

ルンタ「そうね!」

ミーコ「さっきはとつぜんまものがでて、ビックリしてアセっちゃったけど、次はミーコ負けないよ!」

ルンタ「たのもしいわね!」

ミーコとルンタの旅はさらにつづく。
勇者ミーコの冒険 #23(2017/04/19)

ミーコとルンタは旅をつづけていた。

ルンタ「川のこっちに来たけど、ミーコちゃん何かもくてきがあったの?」



ミーコ「うん。これこれ! このマップにね、次の町のさばサブレがめいぶつだって書いてあるのよ」



ルンタ「まあ、それは楽しみね!」

ミーコ「でしょー!」



ミーコ「この道を行けば、きっとさばサブレにめぐりあうのね」

ルンタ「あ、つきあたりにお店があるわ!」

よろずやチャッピー「いらっしゃいませー」



ミーコ「あっあなたは、故郷のチャッピーによく似た、いつかのよろずやさん!」

よチャ「おや、ミーコさんじゃないですか。そのせつはどうも」

ルンタ「よろずやさん、こんにちは」

よチャ「これは、ルンタさんもごいっしょでしたか。お元気そうでなにより」

ミーコ「よろずやさん、引っ越したの?」

よチャ「そうなんです。商売をひろげるという夢をすてきれませんでね。ほうぼうをめぐってビジネスチャンスをさぐったんです。苦労のかいあって、ついにここに店をかまえることができました」

ルンタ「じゃあ、さばサブレもよろずやさんのとこの商品なの? わたしたちそれが楽しみでここに来たのよ」

よチャ「あー…」

ミーコ「どうしたの?」

よチャ「さばサブレの販売はしゅうりょうしました…」

ミーコ「なんですって! どういうことなの」

よチャ「原料のさばパウダーがとどかなくなっちゃったんですよ。苦労して仕入れルートをかいたくしたんですけどね」

ミーコ「え、それがもしかしてこのさば街道?」

よチャ「そうです。で、この原料のさばパウダーがとてもおいしいという話がひろまって、あちこちからネコが集まり…」

ルンタ「あらあら」

よチャ「結局、うちにとどく前にさばパウダーがみんななくなってしまうようになったんです」

ミーコ「えーひどい」

ルンタ「それはこまるわね」

よチャ「そういうのをとりしまるほうりつもありませんのでね」

ルンタ「でも考えてみると、おいしそうなものが目の前にあるのに食べちゃいけないっていうほうりつができたら、それこそ暴動がおきるわね」

ミーコ「たしかに、目の前にあるおいしそうなものを食べるのはとうぜんの権利よね!」

よチャ「まあそういうわけで、この企画はしゅうりょうしました」

ミーコ「そっかぁ。さばサブレ、ないのかぁ」

ルンタ「ショックねー」

残念がるミーコとルンタ。つづく。
勇者ミーコの冒険 #24(2017/04/20)

ミーコとルンタが目的としていたさばサブレの販売は終了していた。

ミーコ「商売はむずかしいねー」



よろずやチャッピー「あたらしい商品も考えたんですよ。逆転の発想で、ネコがきらいな原料をつかえばいいということで、そば粉を原料としたそばサブレというものを開発しました。でもこれはまったく売れませんでね」



ルンタ「でしょうねえ」



よチャ「やっぱり魚がウケがいいんですね。それでいまは、地もとの川でとれる原料をつかったふなスフレという商品を開発中です。しさくひんもできてますよ。よかったらめしあがりますか?」

ミーコ「ホント? やったー!」

ルンタ「食べる食べるー!」

よチャ「どうぞ」

ミーコ「もぐもぐ。これはおいしいね!」

ルンタ「もぐもぐ。ほんとだわ! おいしいわ!」

よチャ「それはよかった!」

ミーコ「よろずやさん、さいのうあるよ!」

ルンタ「これは売れるわね。でもまた町じゅうのネコたちがこっそり食べに来るんじゃないかしら?」

よチャ「そこです。しかし対策がありますよ!」



ミーコ「えっそれは?」

よチャ「カギです。こうやってふなスフレを戸だなにしまって、カギをかけて、電気を消しておけば…」

ルンタ「まあ。それならあんしんね!」

よチャ「でしょ!」

ミーコ「…」

ルンタ「どうしたの? ミーコちゃん」

ミーコ「…ちょっとまって! なにか思い出しかけたわ」

ミーコは記憶の糸をたぐりよせようとした! つづく。
勇者ミーコの冒険 #25(2017/04/21)

よろずやチャッピーの店で何かを思い出そうとするミーコ。

よろずやチャッピー「どうしたんですかミーコさん」



ミーコ「そのカギよ!」



ルンタ「え?」



ミーコ「ミンミンにひつようなのはカギだったんだわ!」

よチャ「え、ネジじゃなくて?」

ミーコ「たしか、カギをつかって、まかいのとびらをひらくんだった」

ルンタ「まあミーコちゃん。あなた魔界に行くの?」

ミーコ「うん。なんかそういう感じの設定だった気がする」

よチャ「魔界のとびらですか? となると、とくべつなカギがひつようそうですね」

ミーコ「そのカギじゃダメなの?」

よチャ「これはこの戸だなしかあけられません」

ミーコ「なんでもあけられるカギっていうのはないの?」

よチャ「うーん。そういえばとうぞくは、なんでもあけられるとうぞくのカギというものを持っているという話です」

ルンタ「とうぞく?」

ミーコ「とうぞくなら、前に1かい会ったかも! よし、さがしだしてカギをもらおう」

よチャ「でもとうぞくなんてキケンですよ」

ミーコ「ミンミンは勇者だからだいじょうぶよ! とうぞくはどこにいるの?」

よチャ「このへんは治安がいいからとうぞくはいないけど、たしか西のほうで、通行人があやしいネコに声をかけられるという事案がはっせいしています」

ミーコ「よーし、西ね。とうぞくまってろよー」

ルンタ「なんかぶっそうね。ミーコちゃんにまかせたわよ」

よチャ「ごぶうんをおいのりしております」

ミーコ「ハーイ。バイバーイ!」

ミーコとルンタの旅はつづく。
勇者ミーコの冒険 #26(2017/04/24)

ミーコとルンタは道を歩いていた。

ミーコ「さて、とうぞくをどうやってさがしだしたらいいのかな?」



ルンタ「さあ?」



ミーコ「あれ、あそこで道をふさいでいるネコがいるよ」

ルンタ「ちょうどいいわ。あのネコにきいてみましょう」

それはとうぞくチャッピーだった!

とうぞくチャッピー「ここはプーのなわばりだよ。とおるんなら通行料をもらうよ」



ミーコ「あっこいつは、故郷のチャッピーによく似た、いつかのとうぞくだわ!」

ルンタ「まあ。お知り合いなの?」

とチャ「おまえはあのときの!」

ミーコ「ここで会ったが100年め。おとなしくとうぞくのカギをよこしなさい!」

とチャ「いやだと言ったら?」

ミーコ「腕ずくでもうばうわよ!」

ルンタ「ミーコちゃんそれ勇者のセリフじゃ…」

とチャ「やれるもんならやってみろ。プーはあれからレベルアップしたよ。あのときみたいにはやられないよ」



ミーコ「む、たしかにスキがないわ…」

とチャ「じゃあ通行料をもらうよ」

ミーコ「ルンちゃん! あれ。あれやって」

ルンタ「わかったわ。るーん!



ルンタ「いまよ! ミーコちゃん!」

ミーコ「それっ!」バコン!

とチャ「ぎゃん!」

テロロン♪ とうぞくチャッピーをやっつけた! つづく。
勇者ミーコの冒険 #27(2017/04/25)

ミーコはとうぞくチャッピーをやっつけた。

ルンタ「ていうかミーコちゃん。なにもバールでそんなに思いっきりたたかなくても…」



ミーコ「ごめん。かげんがわからなくて、つい!」



ルンタ「とうぞくだいじょうぶ? しんでない?」

とうぞくチャッピー「いたいよー」

ミーコ「いきてた!」

とチャ「ひどいじゃないか! しぬかと思った!」

ミーコ「ごめん!」

とチャ「うわーん。いたいよー」

ミーコ「どうしよー。おろおろ」

ルンタ「そうだ。こんなときは、おばあちゃんにおそわったあのじゅもんで…。いたいのいたいの、とんでけー!

とチャ「!?」

とチャ「なおった!」

ミーコ「えっ!」

ルンタ「やったー」

ミーコ「なにそれルンちゃん、すごーい!」

とチャ「ありがとうございます!」

ルンタ「よかったわね」

とチャ「ルンさんでしたっけ。なにかお礼をしなくては!」



ミーコ「あっじゃあ、とうぞくのカギをちょうだいよ!」

とチャ「おまえに言ってない!」



ミーコ「なによ! ミーコとルンちゃんはなかまなのよ!」



とチャ「だまってろ!」

ミーコ「あたしに負けたくせに、アンタなまいきよ!」

とチャ「うるさい!」

ミーコ「なによ!」

ルンタ「あーもう。ふにあー!

ミーコ「(フニャ〜)」

とチャ「(フニャ〜)」

ルンタ「おちついた?」

ミーコ「ハイ」

とチャ「ハイ」

ルンタ「それでとうぞくさんは、とうぞくのカギを持っているの?」

とチャ「ええ。とうぞくならみんな持ってますよ」

いよいよとうぞくのカギの登場か。つづく。
勇者ミーコの冒険 #28(2017/04/26)

とうぞくチャッピーはとうぞくのカギをとりだした。

とうぞくチャッピー「これです」



ミーコ「これがカギ?」



とチャ「そうです」



ルンタ「カギにみえないけど…」



ミーコ「これでとびらがあくの?」

とチャ「たいていの錠はあきますよ。ただこれをつかうには、とくしゅな技能がひつようです」

ミーコ「ぎのう?」

とチャ「しゅうとくするのに3年はかかるかな」

ミーコ「なんだかわからないけど、ミーコならそんなのすぐおぼえられるよ!」

とチャ「じゃあこの練習用の錠で…。まずはこのカギ穴に、針金のせんたんをさしこむんです」

ミーコ「えーと、こうかな? こうかな?」

ミーコ「うまく入らないわ! イライラする!」

ルンタ「がんばってー」

ミーコ「あーもう!」ぐしゃ!

とチャ「これは時間がかかりそうだな。ルンさんあちらでお茶でもいかがですか」

ルンタ「いいわねー」


5時間後。


ミーコ「ハアハア。ようやくせんたんが入ったわ」

とチャ「どれどれ。あー。針金がこんなにぐしゃぐしゃになって…。これはつかいものになりませんよ。やりなおしです」

ミーコ「そんな!」

とチャ「もっとこう、そぉっとさしこまないと」

ミーコ「ムリよ!」

とチャ「それはこまったな」

怒れるミーコと途方にくれるとうぞくチャッピー。つづく。
勇者ミーコの冒険 #29(2017/04/27)

ミーコはカギの技能を習得しようとしたが、早々に挫折した。

とうぞくチャッピー「ミーコさんにはとうぞくのししつはなさそうだね」



ミーコ「あんなこまかいのムリよ!」



とチャ「ぼくにできるのはここまでだよ」

ミーコ「そうだいいこと思いついた! アンタなかまにならない? そしたらあたしが苦労してカギのぎのうをしゅうとくするひつようはないわ!」

とチャ「えー。でもぼくはここでなわばりを守らないと」

ミーコ「そんなのどうでもいいじゃない!」

とチャ「なわばりをちゃんと守ってないと通行料とれないし」

ルンタ「ミーコちゃん。とうぞくさんにはとうぞくのお仕事があるのよ」

ミーコ「うーん。いいアイデアだと思ったんだけどな」

とチャ「ミーコさんにはそのバールがあるじゃないですか。それでなんとかなるかもしれないよ」

ミーコ「え?」

とチャ「ルンさんにきいたけど、魔界のとびらでしたっけ? そのとびらにカギがかかっていて、見張りもいたとして…」

ミーコ「わかったわ! このバールで見張りをおどしつけて、カギをあけさせればいいのね!」

とチャ「いや…」

ミーコ「えっじゃあ、このバールで見張りをなぐってきぜつさせて、しかるのちに、とびらをバールでこじあけるのかしら!」

とチャ「いや、そうじゃなくてね」

ミーコ「どうなのよ」

とチャ「正面から行ってもカギがかかってて、見張りもいて、入れないなら、うらのほうにまわって、入れるところをさがせばいいんです。まどとか、勝手口とか、けっこうカギがかかってなかったりするよ」

ミーコ「なるほど! でもバールはその話のどこにでてくるの?」

とチャ「バールはもしものときのための護身用です。女の子がむやみにふりまわすものじゃないですよ。らんぼうな」

ミーコ「なによ! ミーコがらんぼうものだっていうの!」



とチャ「そうじゃないか!」



ミーコ「ちがうわよ!」

とチャ「そうだろ!」

ミーコ「なによ!」

ルンタ「あーまた。ふにあー!

ミーコ「(フニャ〜)」

とチャ「(フニャ〜)」

とチャ「と、とにかく、カギはなくてもきっとなんとかなるよ」

ミーコ「そうよね!」

ルンタ「そうかもねー」

とチャ「じゃあそ−ゆーことで! この先はぶっそうだからお気をつけて!」

ルンタ「はーい。とうぞくさんもお元気でー!」

ミーコ「バイバーイ!」

ミーコとルンタの旅はつづく。
勇者ミーコの冒険 #30(2017/04/28)

ミーコとルンタは旅をつづけていた。

ルンタ「これからどこをめざすの? ミーコちゃん」



ミーコ「そうね。とりあえずいまは、このマップでおいしそうなものがないかさがしているの」



ルンタ「いいのあった?」

ミーコ「うーん。どくキノコ汁とか、ヨウシュヤマゴボウようかんとか、マムシだんごとか、3種混合がゆとか、なんかいまいちっぽい…」

ルンタ「3種混合がゆって、何がはいっているの?」

ミーコ「あわ、ひえ、いも」

ルンタ「ああガッカリ…。ネコの嗜好をまるで無視したたべものね」

ミーコ「このマップはしっぱいだったなあ」


ぎんゆう詩人チャッピー「いもくえば〜 はらがなるなる 裏街道〜」


ミーコ「え、アンタなに?」

ぎチャ「ぎんゆう詩人です。しょこくをまわって詩をよみ、活動でえた資金をめぐまれないネコたちのためにうんようしています」



ルンタ「まあ。かんしんね」

ミーコ「詩をよむの? なにかよんでみて!」

ぎチャ「古池や〜 ネコがおちたら あぶないよ〜」

ミーコ「あぶないねー」

ぎチャ「さみだれを〜 あつめてみたよ いるまがわ〜」

ルンタ「わあ、なんだか風流ねー」

ぎチャ「すずめの子〜 そこのけそこのけ プーがとおるよ」

ミーコ「わーい。ミーコもとおるよ!」

ルンタ「ルンちゃんもー」

すずめ「チュン、チュン」

ミーコ「それそれー」

すずめ「チュン、チュン」

ぎチャ「よろこんでいただけてなにより。ではお代をいただきます」

ミーコ「えっ! お金とるの」

意外な請求に驚くミーコ。つづく。


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